わたしたちが考える「学びの形」

わたしたちが考える「学びの形」

検索すればいくらでも情報が出てくる今。学びのチャンスはいくらでも広がっているように思えるのに、学ぶ人が増えたかと言うとそうでもない感じがする。

学びの機会がないのではなく、学ぶきっかけが足りないのだ。

学びを誘発する要因はいろいろある。
怒られた、質問された、競争になっている、困っている、ああなりたい。
しかしそう思っていても行動が伴わないことが多い。
怖い・めんどくさい・やる気にならない・わからない…さまざまな感情が行動の反対側を引っ張り釣り合った状態になってしまう。やらないと「やる気がない」と決めつけられる。どうしてこんなことができないんだ、と言われ、自分でもそう思い、さらに行動が遠のく。やる気がないわけではないのに。

ネガティブな「感情」の反対側で、感情よりも強く引っ張るきっかけが必要で、またそれを忘れないような刺激を受け取れる環境づくりが必要だと考えている。

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例えば、TETAUが取り組んでいる「家で働くカレッジ」。
家で働きたいという気持ちのさらに奥に目指したい姿がある。
療養中で体力が安定しない、障害を持っていて通勤が大変、子育て・介護で時間が安定しない、人と対面して話すのが苦手…
そういった「不」をクリアにしたいという気持ちは、理想とする姿への憧れと、やらねばならぬという現実感のバランスが取れている。

もちろん「仕事」というのも大きな誘発要因である。
稼げるのはもちろん魅力的だが、それ以上に自分の役割を感じることでの自信や、仲間と達成する喜び、やり遂げたいという責任感によって本人の優先順位が上がる。
そのために私たちは「地域をてたうプロジェクト」で体験を仕事にする。
地域内外との接触が学びを促進する。

地域資源を知るような体験への参加は、「子どもに学ばせたい」という誘発要因が効く。
地域の課題解決の一端を担ってもらう自律型人材としては高いスキルだけでは難しい。
「関わりしろ」を伸ばすためにもさまざまな体験が必要となるが、家事に子育てに仕事にと忙しい時間を過ごしている中では仕事に集中したいという気持ちも大きい。
TETAdy」という企画では地域資源を親子で学ぶ場を用意し、体験を促している。

個々の「不」に作用するコンテンツからスタートし、刺激を受け続けるための場づくりが「TETA子屋」だ。
月1,000円という誰でも参加しやすい価格帯で実施する。
NPOなどの支援を受けているケースでは無料での招待を行う。
収益性から解放されることで、運営側も伸び伸びと学びの場を続けられる。
数字にとらわれないことで、個人の優位性を生かすために、個々で考えるという長い時間を耐えられるようになる。

どれも収益性はなく、時間もかかる。
それでもTETAUが骨としている「発見・解決・創造」を行う人材を育成するにはそういった場が欠かせない。私たちが行うのはTETAUのための活動でなく、地域全体のための活動だ。
そのために活動する人材は、境界がなくシームレスに繋がっている必要もある。
TETAUで活動するしないに関わらず、より多くの人に学びを続けてもらうことが私たちにとっても意義は大きい。

社会が求めている姿をしている人だけが活躍するのでは、地域や社会を担うのには足りず、バランスも悪い。
多様な人たちが自分の考えにしたがって行動できる環境を作り出すことは、わたしたちの事業の根幹を支える活動だ。